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カイトとクロロが好きです。
好きすぎてHP立ち上げるくらいには…!
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主人公+カイトin Drrr!!_02
2011.06.05 02:00
思ったよりも長くなってしまった…。
もはや長文は仕様なので、スルーして下さい。
というか、長文の割りに話進んでなくね?というのも、以下略。
以下、本文。
*******************************************
「あ、首なしライダー!」
道路脇から若い女性の声が聞こえたが、疾走している間に声が後ろに流れていく。
コシュタ・バワーの“嘶き”はなかったが、通行人がこうして気づくことはある。それでも、ほとんど気づかれることはないので少し驚いた。
(最近多くなったな、気づかれるの…)
通行人の視線が向けられることが多くなったのに、少し不安が胸をよぎる。
街を走る時にはライトを点灯させることもタイヤの摩擦音も当然しないので、そう注意をひきつけることもないのに、やはり気づく人間はいるのだ。
自分の見た目が目立つことは重々承知しているし、こちらから諍いを起こす気はないので向けられる視線に応える気はないから、ほとんど走り去ってしまっているから問題はないが。
(首の気配を探しながら、池袋周辺を走ることが多くなったからかもしれないな)
都内の、特に池袋周辺を中心に探しているせいで、特定の場所での目撃証言が増えているからだろう。
少しは控えた方がいいのだろうか――と、思いつつも、きっとそれは無理だろうなとたやすく否定できた。
新羅の諦めを促す言葉が思い出されるが、そう簡単に諦める気にはなれなかった。この渇きにも似た焦りを他人と分かち合うことはできないだろうし、欠けた自身を取り戻すのに労力を惜しむつもりもない。
ぎゅっと強くハンドル――コシュタ・バワーの手綱だが――を握れば、不審に思ったのかシューターの影がブレる。
そのことに軽く驚き、宥めるようにボディを撫でて前を走る車の合間を抜き去った。
♂♀
(ここか)
シュターを止め、都内の群立するあるビルの工事現場を見上げる。
立入禁止の看板の隙間をゆっくりと走り抜ければ、作り欠けの立体駐車場が上へと続いている。音を立てずに上へと駆け上がりつつ、どうしようかと迷う。
(思ったよりも早く来てしまった…。時間厳守だというのを気にしすぎたかな?)
周囲に明かりはない。
工事が頓挫してしまったのか、作りかけのビルは照明用具もなく埃っぽかったので人の気配は全くなかった。
こんな場所を荷物の受け渡し場所に指定するとは、かなりきな臭い仕事になってしまったな。
(…いや。運び屋をやってる以上、深く詮索するのはよそう)
単なる配達業をやってるわけじゃないのだから、こういうのも想定内だ。それに、仕事を選べる立場でもない。
ややネガティブな思考に偏りがちなのに気づき、慌てて首を左右に振って意識を逸らした。
(そうだ。そろそろ時間になるんじゃないか?)
そう思い、携帯電話を取り出して時間を確認しようとしたところで、不意に気配を感じて振り返った。
するとそこには、グレーのカジュアルコートを羽織った男が立っていた。
取引相手か。と思いシュターから降りれば、近づいてきた男はやや驚いたように目を見開き、それからゆっくりと細めた。
警戒していないわけがないと思うが、自然な動作で近づいてきた男は周囲を確認することなく声をかけてきた。
「荷物は?」
短い問いかけにシュターにくくりつけていた、細身のアタッシュケースを差し出す。
すると男はそれを受け取り、数秒何かを探るように動きを止めてから軽く頷いた。
「確かに受け取った。これで君の仕事は終わりだ」
『報酬は?』
短くPDAに打ち込み画面を男に見せると、その男は軽く首を振って答えた。
「悪いが直接雇い主に聞いてくれ。俺は何も知らない」
? この男が今回の依頼主じゃないのか?
そう思ってそうPDAに打ち込んで尋ねれば、
「いや、俺も雇われ。君と同じ運び屋だよ」
男の言葉に少し驚いていると、クスリと小さく笑ったようだった。
「君は国内、いやむしろ都内限定の運びしかしないんだろう? だから、そこから先のために俺が雇われただけだ」
『そうか…。悪かったな、手間取らせて』
「気にするな。―――だが、あまり感心しないな。受け渡しの時間はなるべく短い方がリスクが少なくてすむ。時間よりも早く来るのはオススメしない」
思わぬ指摘に驚きまじまじと相手を見つめれば、男は少し自嘲気味に笑ったようだった。
「悪い。余計なことを言った」
『―――いや、そんなことはない。忠告ありがとう』
男の謝罪に驚いて慌てて打ち込めば、男はゆるく手を振って礼には及ばないと言ったようだった。
不思議な男だな。と思っていると、彼はどこか感心するようにこちらを見て呟いた。
「それにしても…、“こちら”で君のような存在に会うとは思わなかった。最近の日本は、君やそっちの馬みたいなのが多いのか?」
そのセリフに驚き硬直していると、男は何を思ったのかシューターの近くに膝をついてまじまじと観察し始めた。
「良い毛並みだな。―――しかし、バイクに変化して動かすなんて随分興味深い。触ってもいいか?」
『ど、どういうことだ!? お前、視えてるのか!?』
動揺も隠せず詰め寄るような勢いでPDAを男の眼前に出せば、いくらか面食らったような顔をして男は顎先に手を当てた。
「まあ、視えてるが。ついでに言うと君もこの馬も首がないようだからー…、精霊か妖精の類か? どうも西洋っぽい雰囲気があるが、なんでまた日本にいるんだ?」
驚きすぎて心臓が止まるかと思ったし、喋ることができたなら絶叫していただろう。
あまりに予想外な言葉に盛大に混乱したせいで、身体から滲み出た影が不規則に揺らめいた。
(しまった…!)
そう思って慌てて制御しようとした時には、すでに男は距離をとって身構えていた。いや、立っているだけなのだが、どこか隙のない身のこなしでこちらを窺っていた。
警戒させるつもりはなかったし、攻撃の意思など全くなかったが驚かせたのは間違いない。
慌てて謝罪の言葉を打ち込んだPDAを相手に差し出せば、男は少しバツが悪そうな顔をして謝ってきた。
「いや、こちらこそ不用意なことを言った。あまり指摘されて嬉しいことでもなかっただろう?」
『そんなことはない。むしろ、そっちこそ驚いただろう? 悪かった』
「まあ、な。だが、こちらに非があるのは違いない。気を悪くしないでくれ」
そう言って男が踵を返したので、慌てて彼の腕を掴んで引き止めた。
本当なら不用意に触るのは良くないのだろうが、そうも言ってられない。何よりこちらは喋れないのだから。
驚き足を止めた男に、すばやく打ち込んだPDAを差し出す。
少し、見せるのをためらったのは唐突過ぎて迷惑かと考えたからだが、この期を逃せば二度と会う機会がないだろうと思ったからこそ、少々強引にでも引き止めたのだ。
『良かったら連絡先を教えてくれないか? 時間がある時でかまわないから、もっと話がしたい』
差し出したPDAのディスプレイを見た男が、軽く目を見開く。
連絡先を教えてくれ。だなんて、自分でも珍しい行動だと思う。つい今知り合っただけとはいえ、この一瞬だけで途切れてしまうのはあまりに惜しい人物だと感じたからこそ、こうして積極的に動いているのだ。
反応のない相手に、ごくりと咽喉が鳴る。
こんなに必死になっている自分が滑稽でもあったが、断られるのが怖いと思うのも初めてだった。
差し出したPDAが震えそうになるのを必死で押さえつけていると、男はふつりと息を零すように表情を崩した。何だ?
「…ケイトだ。『ライナス』という名で運び屋をやってる。あっちこっち飛び回ってるから連絡がつかないかもしれないが、それでもいいか?」
一瞬、何を言われたのか分からなかったが、ケイトというのが彼の名だというに気づき、慌てて頷いた。
同業の存在というのも親近感が沸く要因だったが、私の存在を看破しつつ実に自然体な態度というのも好感を持てた。
『セルティ・ストゥルルソンだ。私はほとんど池袋にいるから、この辺に来る時には連絡してくれ』
そう返答して、新羅に作成してもらった名刺を差し出せば、ケイトはどこか感心するように笑った。
「名刺とは…随分気の効いた精霊だ。つくづく面白いな、君は」
名刺を持ち歩くようにしたのは、新羅が営業する時に必要だろうと薦めてくれたからだ。
喋ることのできない身で連絡先を告げるのは無理があるので、名刺の存在は重宝していたから自然に渡していたのだが、どこか褒めるような口ぶりだったので居心地悪く顔を背けた。
精霊、というか妖精らしからぬ自分の行動が面白いとケイトは笑ったのだろうが、そう指摘されれば確かに恥ずかしくなってくる。
それでも随分とこちらの生活になじんできているのも確かなので、今更それらしい行動ができるかと問われると困るのだが。
そんなこちらの戸惑いを察したのか、くつりと小さな笑い声を上げてケイトの気配が遠ざかった。
あ、と内心で声を上げると、ケイトは立体駐車場の縁に足をかけ振り向いた。
「また会おう。セルティ」
そう言って、ひょいと身軽に立体駐車場から飛び降りたケイトにぎょっとして駆け寄ったが、飛び降りたであろう彼の姿は下には見えず、ましてや人のいた気配すら既に感じられなかった。
(―――まさか、幽霊とかじゃないだろうな?)
きれいさっぱりに消え去っている気配に思わずそう考えてしまったが、それでも、間違いなく彼はこの場にいた。
渡した荷物もないし、足元には自分以外の足跡も残っている。だから、幻影でも夢でもない。
だからこそ、不思議で仕方がない。
一体、彼は何者だ?
*******************************************
▼以下補足。
・凝したら幽霊も精霊も見える気がする。
・主人公は円の精度がいいので、周囲の人も荷物の中身も分かる。
・主人公は念能力を使って、遠方(国外)への運びを主にしてる。
・立体駐車場から飛び降りて、直ぐに念能力で移動。着地してない。
・この後メールで何度か交流。再会。会話はずんで友人に。
・=新羅に浮気を疑われるフラグwww
もはや長文は仕様なので、スルーして下さい。
というか、長文の割りに話進んでなくね?というのも、以下略。
以下、本文。
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「あ、首なしライダー!」
道路脇から若い女性の声が聞こえたが、疾走している間に声が後ろに流れていく。
コシュタ・バワーの“嘶き”はなかったが、通行人がこうして気づくことはある。それでも、ほとんど気づかれることはないので少し驚いた。
(最近多くなったな、気づかれるの…)
通行人の視線が向けられることが多くなったのに、少し不安が胸をよぎる。
街を走る時にはライトを点灯させることもタイヤの摩擦音も当然しないので、そう注意をひきつけることもないのに、やはり気づく人間はいるのだ。
自分の見た目が目立つことは重々承知しているし、こちらから諍いを起こす気はないので向けられる視線に応える気はないから、ほとんど走り去ってしまっているから問題はないが。
(首の気配を探しながら、池袋周辺を走ることが多くなったからかもしれないな)
都内の、特に池袋周辺を中心に探しているせいで、特定の場所での目撃証言が増えているからだろう。
少しは控えた方がいいのだろうか――と、思いつつも、きっとそれは無理だろうなとたやすく否定できた。
新羅の諦めを促す言葉が思い出されるが、そう簡単に諦める気にはなれなかった。この渇きにも似た焦りを他人と分かち合うことはできないだろうし、欠けた自身を取り戻すのに労力を惜しむつもりもない。
ぎゅっと強くハンドル――コシュタ・バワーの手綱だが――を握れば、不審に思ったのかシューターの影がブレる。
そのことに軽く驚き、宥めるようにボディを撫でて前を走る車の合間を抜き去った。
♂♀
(ここか)
シュターを止め、都内の群立するあるビルの工事現場を見上げる。
立入禁止の看板の隙間をゆっくりと走り抜ければ、作り欠けの立体駐車場が上へと続いている。音を立てずに上へと駆け上がりつつ、どうしようかと迷う。
(思ったよりも早く来てしまった…。時間厳守だというのを気にしすぎたかな?)
周囲に明かりはない。
工事が頓挫してしまったのか、作りかけのビルは照明用具もなく埃っぽかったので人の気配は全くなかった。
こんな場所を荷物の受け渡し場所に指定するとは、かなりきな臭い仕事になってしまったな。
(…いや。運び屋をやってる以上、深く詮索するのはよそう)
単なる配達業をやってるわけじゃないのだから、こういうのも想定内だ。それに、仕事を選べる立場でもない。
ややネガティブな思考に偏りがちなのに気づき、慌てて首を左右に振って意識を逸らした。
(そうだ。そろそろ時間になるんじゃないか?)
そう思い、携帯電話を取り出して時間を確認しようとしたところで、不意に気配を感じて振り返った。
するとそこには、グレーのカジュアルコートを羽織った男が立っていた。
取引相手か。と思いシュターから降りれば、近づいてきた男はやや驚いたように目を見開き、それからゆっくりと細めた。
警戒していないわけがないと思うが、自然な動作で近づいてきた男は周囲を確認することなく声をかけてきた。
「荷物は?」
短い問いかけにシュターにくくりつけていた、細身のアタッシュケースを差し出す。
すると男はそれを受け取り、数秒何かを探るように動きを止めてから軽く頷いた。
「確かに受け取った。これで君の仕事は終わりだ」
『報酬は?』
短くPDAに打ち込み画面を男に見せると、その男は軽く首を振って答えた。
「悪いが直接雇い主に聞いてくれ。俺は何も知らない」
? この男が今回の依頼主じゃないのか?
そう思ってそうPDAに打ち込んで尋ねれば、
「いや、俺も雇われ。君と同じ運び屋だよ」
男の言葉に少し驚いていると、クスリと小さく笑ったようだった。
「君は国内、いやむしろ都内限定の運びしかしないんだろう? だから、そこから先のために俺が雇われただけだ」
『そうか…。悪かったな、手間取らせて』
「気にするな。―――だが、あまり感心しないな。受け渡しの時間はなるべく短い方がリスクが少なくてすむ。時間よりも早く来るのはオススメしない」
思わぬ指摘に驚きまじまじと相手を見つめれば、男は少し自嘲気味に笑ったようだった。
「悪い。余計なことを言った」
『―――いや、そんなことはない。忠告ありがとう』
男の謝罪に驚いて慌てて打ち込めば、男はゆるく手を振って礼には及ばないと言ったようだった。
不思議な男だな。と思っていると、彼はどこか感心するようにこちらを見て呟いた。
「それにしても…、“こちら”で君のような存在に会うとは思わなかった。最近の日本は、君やそっちの馬みたいなのが多いのか?」
そのセリフに驚き硬直していると、男は何を思ったのかシューターの近くに膝をついてまじまじと観察し始めた。
「良い毛並みだな。―――しかし、バイクに変化して動かすなんて随分興味深い。触ってもいいか?」
『ど、どういうことだ!? お前、視えてるのか!?』
動揺も隠せず詰め寄るような勢いでPDAを男の眼前に出せば、いくらか面食らったような顔をして男は顎先に手を当てた。
「まあ、視えてるが。ついでに言うと君もこの馬も首がないようだからー…、精霊か妖精の類か? どうも西洋っぽい雰囲気があるが、なんでまた日本にいるんだ?」
驚きすぎて心臓が止まるかと思ったし、喋ることができたなら絶叫していただろう。
あまりに予想外な言葉に盛大に混乱したせいで、身体から滲み出た影が不規則に揺らめいた。
(しまった…!)
そう思って慌てて制御しようとした時には、すでに男は距離をとって身構えていた。いや、立っているだけなのだが、どこか隙のない身のこなしでこちらを窺っていた。
警戒させるつもりはなかったし、攻撃の意思など全くなかったが驚かせたのは間違いない。
慌てて謝罪の言葉を打ち込んだPDAを相手に差し出せば、男は少しバツが悪そうな顔をして謝ってきた。
「いや、こちらこそ不用意なことを言った。あまり指摘されて嬉しいことでもなかっただろう?」
『そんなことはない。むしろ、そっちこそ驚いただろう? 悪かった』
「まあ、な。だが、こちらに非があるのは違いない。気を悪くしないでくれ」
そう言って男が踵を返したので、慌てて彼の腕を掴んで引き止めた。
本当なら不用意に触るのは良くないのだろうが、そうも言ってられない。何よりこちらは喋れないのだから。
驚き足を止めた男に、すばやく打ち込んだPDAを差し出す。
少し、見せるのをためらったのは唐突過ぎて迷惑かと考えたからだが、この期を逃せば二度と会う機会がないだろうと思ったからこそ、少々強引にでも引き止めたのだ。
『良かったら連絡先を教えてくれないか? 時間がある時でかまわないから、もっと話がしたい』
差し出したPDAのディスプレイを見た男が、軽く目を見開く。
連絡先を教えてくれ。だなんて、自分でも珍しい行動だと思う。つい今知り合っただけとはいえ、この一瞬だけで途切れてしまうのはあまりに惜しい人物だと感じたからこそ、こうして積極的に動いているのだ。
反応のない相手に、ごくりと咽喉が鳴る。
こんなに必死になっている自分が滑稽でもあったが、断られるのが怖いと思うのも初めてだった。
差し出したPDAが震えそうになるのを必死で押さえつけていると、男はふつりと息を零すように表情を崩した。何だ?
「…ケイトだ。『ライナス』という名で運び屋をやってる。あっちこっち飛び回ってるから連絡がつかないかもしれないが、それでもいいか?」
一瞬、何を言われたのか分からなかったが、ケイトというのが彼の名だというに気づき、慌てて頷いた。
同業の存在というのも親近感が沸く要因だったが、私の存在を看破しつつ実に自然体な態度というのも好感を持てた。
『セルティ・ストゥルルソンだ。私はほとんど池袋にいるから、この辺に来る時には連絡してくれ』
そう返答して、新羅に作成してもらった名刺を差し出せば、ケイトはどこか感心するように笑った。
「名刺とは…随分気の効いた精霊だ。つくづく面白いな、君は」
名刺を持ち歩くようにしたのは、新羅が営業する時に必要だろうと薦めてくれたからだ。
喋ることのできない身で連絡先を告げるのは無理があるので、名刺の存在は重宝していたから自然に渡していたのだが、どこか褒めるような口ぶりだったので居心地悪く顔を背けた。
精霊、というか妖精らしからぬ自分の行動が面白いとケイトは笑ったのだろうが、そう指摘されれば確かに恥ずかしくなってくる。
それでも随分とこちらの生活になじんできているのも確かなので、今更それらしい行動ができるかと問われると困るのだが。
そんなこちらの戸惑いを察したのか、くつりと小さな笑い声を上げてケイトの気配が遠ざかった。
あ、と内心で声を上げると、ケイトは立体駐車場の縁に足をかけ振り向いた。
「また会おう。セルティ」
そう言って、ひょいと身軽に立体駐車場から飛び降りたケイトにぎょっとして駆け寄ったが、飛び降りたであろう彼の姿は下には見えず、ましてや人のいた気配すら既に感じられなかった。
(―――まさか、幽霊とかじゃないだろうな?)
きれいさっぱりに消え去っている気配に思わずそう考えてしまったが、それでも、間違いなく彼はこの場にいた。
渡した荷物もないし、足元には自分以外の足跡も残っている。だから、幻影でも夢でもない。
だからこそ、不思議で仕方がない。
一体、彼は何者だ?
*******************************************
▼以下補足。
・凝したら幽霊も精霊も見える気がする。
・主人公は円の精度がいいので、周囲の人も荷物の中身も分かる。
・主人公は念能力を使って、遠方(国外)への運びを主にしてる。
・立体駐車場から飛び降りて、直ぐに念能力で移動。着地してない。
・この後メールで何度か交流。再会。会話はずんで友人に。
・=新羅に浮気を疑われるフラグwww
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