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カイトとクロロが好きです。
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生存報告、作品補足、拍手レスなど。
[PR] 2024.07.02 23:23
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待望のシーン書きたいなぁと思って書き進めたはいいけど、紀田君とサイモンの口調がうまく再現できそうもありません。
どうしたらいいの? っていうか、視点切り替えにも限度があるなと再確認。

あ。拍手レスは次回させていただきます。


以下、本文。


*******************************************


「ミスターMIKADO! 略してイケテナイ優柔不断代表、竜ヶ峰帝人君! ちょっとお兄さんと一緒に、池袋できゃっきゃうふふしてくれそうな彼女、ナンパしに行こーぜっ」
「略してないし、無駄に長いよ…正臣」

 うんざりとした顔をしつつも、強引に肩を組むようにして誘ってくる正臣をうらやましく思う。
 奥手な自分とは違い、誰とでもすぐ打ち解けられる正臣を見れば、「ああ、やっぱりすごいな」という言葉が胸中に浮かんだ。
 口が回るのは頭の回転が速いからだと思うし、英語の課題を忘れた時も堂々と(回りくどい言い方はしていたけど)忘れたと申告するんだから、ハートが強いなぁと感心した。

「ノンノン! そんな些細なことを気にしてちゃモテナイぜ。男はやっぱほら、女の子を楽しませるトークって大事だと思うし」
「…もしかして、チャラ男って言われたの気にしてる?」
「ギックウ!!」

 わざとらしく胸を抑える正臣に、呆れを隠せない。
 気にしているのは確かだろうけど、クラスの女子に口説くようなセリフを振りまいているのは事実だから、軽薄だと評されても自業自得なんじゃないだろうか?
 そんなことを考えていれば、それに気づいたのか正臣がガシっとラリアットをするような強さで肩に腕を絡めてきた。

「このっ、帝人のくせに生意気だぞ!!」
「ちょっ、なんだよそれっ!? っていうか、痛ッ!」

 ぐいぐいと力強くこめかみを抑えてくる正臣から逃げようと身をよじると、近くを通りかかった女子生徒の集団がクスクスと笑いながら横を通り越していくのに気付いた。

「ちょっ、正臣! 放してって!」
「あ~? 何か言ったか?」
「正臣っ」

 ぐいぐいと肩を締め付ける正臣が、とぼけた態度をとりながらすれ違った女子にひらひらと手を振っているのが分かり大声を上げたけど、一向に手が緩められる気配がない。
 近くを通りかかった女子のクスクスと笑う声に、かっと頬に熱が集まるのが分かる。
 子供じみたじゃれあいを恥ずかしいと思うからこそ体勢を立て直そうとしたのに、慌てたせいか前のめりにバランスが崩れたのが分かった。
 「あ、」と内心間の抜けた声が出て、このまま倒れると思いぎゅっと目をつぶって衝撃に備えたが、地面に倒れこむ前にぼすりと不自然な体勢で動きが止まった。

「オー、ミカド!キダ! 元気ナノハ、イイコトネー。スシ食ベテ、モット動ク。今ナラ安イヨー? サービススルヨー?」
「え、あ、サイモンさん!?」

 上から降ってきた声にがばりと顔を上げれば、倒れそうだった僕らを受け止めてくれたサイモンがにこりと笑った。

「っとと、サイモン悪いな。俺らこれから女の子とデートなんだ。露西亜寿司はまた次の機会な」
「デート? キダ、デートならスシおススメネー。オイシイスシ、幸セ、女の子イチコロヨー」
「ははっ、そりゃそうかもしれないけど、俺たち学生にゃスシなんて高級料理だからなぁ」

 和やかに話始めた二人にケホケホと咳き込んで抗議したものの、きれいに流された。
 正臣はわざと無視してるのは間違いないと思うけど、サイモンはどうなんだろう? 案外正臣と同じで、わかっていて無視している可能性も否めない。
 何しろ、日本語もわざと片言で話しているんじゃないかと思うくらい不自然だともっぱらの噂だし。

 そんなことを考えていれば、ふと顔を上げたサイモンが一点を見つめて首をかしげた。
 いったいなんだろうと思い、その視線の先を見れば、ちょうど地下鉄の出口から出てきた外国人らしき二人の男性が立っていた。

 一人は背の高い長髪の男性。少々猫背気味だが、それでも周囲の人間から頭一つとびぬけているのでずいぶん背が高いことが分かる。
 もう一人は黒髪の男性で薄手のグレーコートを羽織っていた。どこかの雑誌で見るような恰好で、よくよく見ればかなりカッコいい雰囲気を持つ男性だと気付いた。

「サイモンさん、知り合いなの?」

 首をかしげつつもその二人を見つめるサイモンの姿に不思議に思って尋ねれば、「オー、お得意様ガ来タカト思ッタダケヨー」と言ってサイモンは笑った。

「お得意様って、あの外人のこと? 確かに露西亜寿司って結構外国人も来てるけど、サイモンが覚えてるってことはロシア人?」
「ハハ、違ウヨー。カイトはシズオが連レテ来タ人。アッチのオ兄サンは知ラナイケド、カイトは知床行クッテ聞イタヨ。知床ッテ、ロシア近イカラオイシイ物イッパイアルヨ。カニ、サケ、最高ヨー」

 いつもの調子で喋るサイモンに苦笑いが浮かんだが、シズオが連れてきたというのには正直ぎょっとした。
 サイモンが言うシズオと言えば、池袋の歩く自動喧嘩人形、最強と評される平和島静雄しかいない。けど、その静雄さんが露西亜寿司へ招待したというのであれば、いったいどんな人物なんだ?と疑問は強くなった。

「平和島静雄の知り合いってマジかよ…。つーか、知床行くってなに? 観光?」
「知床はこの前、世界遺産になったからじゃないの?」

 正臣の疑問にそう答えれば、こちらの話が聞こえたのか当の二人がこちらに気付いたようだった。
 バチリっと黒髪の男性と視線が合ったことに硬直すると、その反応に逆に驚くように瞬きをしていた。そのことに恥ずかしくなって慌てて頭を下げれば、その人はふつりと笑った。その表情に妙にドキリとする。
 戸惑って慌てていると、件の二人が近づいてきて更にぎょっとした。
 慌てて正臣に声をかけるけど、正臣も「え、ちょ、マジかよ。どうしよう?」と小さく零すのでどうしようもない。
 好奇心で見ていただけなのに、わざわざこちらに来られても困る。というか、近づいてくる姿を見れば二人とも日本人とは思えない容姿だったし、一回りは年上だろうことが分かって緊張で咽喉が鳴った。

「サイモン、仕事か?」
「オー、カイト。戻ッテキタのカ? オツカレなら、スシがオススメね。サービススルヨー」

 長髪の男性がサイモンに話しかけたので、この人がカイトというのか。とチラリと視線を向けて見る。
 鷲鼻が特徴的な顔にキャスケットと長髪というのは見慣れないな、と思ったがサイモンとのやり取りからして二人が旧知なのは疑いようもない。
 池袋に住んでいるのだろうか?と考えていると、サイモンが「オ兄サンモスシ、食ベルとイイヨ。露西亜寿司、安クテ新鮮、美味イね」ともう一人の男性に話しかけた。

「ああ、せっかくだから寄らせてもらおう。酒もいいのがあったらもらいたいね」
「オオ! 社長サン、二名ゴアンナーイ」

 嬉しそうに笑ったサイモンが二人を案内しようと声を上げるのに、これはちょっと居心地悪いなと思っていると、

「よかったら君たちも食べてくかい? 奢るよ」
「ええっ、あの…その…、別に僕たちは…」
「ああ、初対面なのにそんなこと言われたら困るか。ちょっとまあ、最近池袋を離れてたもんだから世話話でも聞かせてもらえればと思っただけなんだ。気を悪くしないでくれ」

 流暢にしゃべる男性に目を白黒させていると、横にいた正臣が「いや、そう言われても怖いっすよ」とやや腰が引けた声で返す。
 するとその人はあっさりと「それもそうか」と実にさっぱりとした様子で頷いた。

(なんだ? この人。悪い人じゃなさそうなんだけど、ずいぶん変わってるなぁ)

 見ず知らずの学生をつかまえ、世話話でも聞かせてくれという外国人というのは衝撃的だ。
 それでも嫌な感じがしないのは、この人がどこか柔らかい雰囲気で笑っているからだろうか?

 どうしよう?と目線で正臣に意向を覗おうとした時、通りの向こうから赤いファーストフードの看板が轟音をたてて横切った。


*******************************************
▼以下補足。
・帝人が「紀田君」呼びから「正臣」呼びになったタイミングがイマイチ分からなかった。
・紀田君の流れるようなセリフ回りはマジ難しい。
・サイモンの口調も難しい。読みやすいように、わざとカタカナとひらがな混在させてます。
・あれ? 帝人は「サイモン」呼び?「サイモンさん」呼び?
・主人公とカイトは、この頃は普段から纏してる。
・カイトは動物や自然環境の調査員だと勝手に思われてますwww。
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