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カイトとクロロが好きです。
好きすぎてHP立ち上げるくらいには…!
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主人公+カイトin Drrr!!_03
2011.06.08 22:50
とりあえず、状況整理として挿入。
しかし書いてて思ったが、蟻編終了後だとすると主人公の語りというか考え方がちょっとアレになってるはずなので、いまいち視点口調がしっくりこない。
どうしても第三章辺りになってしまったのは、やっぱり終了まで書かないとダメなんだろうな…。
以下、本文。
*******************************************
最初は「あれ、俺ジャポンに跳んだっけ?」と思った。
『百万世界の扉』も問題の多い念能力だったし、キメラ=アントの一件で色々と思うところもあったので改良を考えていた時だったのは確かで。
繋げる場所間違えたかな?と思って、とりあえず場所を再確認しようとしたところで、妙に懐かしい感覚がした。
なんだ? と首をかしげ、周囲を見渡し、それでも分からず少し警戒しながら円を広げてハッとした。
ハンター文字がない。言語が妙に耳に入る。鼻を掠める雑踏の匂い。肌に触れる空気が生ぬるい。
全身が粟立つ緊張に、冷水に使ったような悪寒。
ゴォッと空を横切る騒音に弾かれたように空を見上げ、視界に入った飛行機の存在に咽喉の奥が引き締まった。
それからまさかと疑う気持ちに駆け出し、近くにあった地下鉄の駅前に移動して呆然と駅名の掲げられた看板を見上げた。
百貨店のビル。コーヒーショップ。緑色の標識文字。無数の人が交差する駅前広場。
どこか懐かしさのあるその喧騒に心臓が不規則な運動をしていて、ヒュっと息を飲んで強い嫌悪感に吐き気を催した。
その後のことは上手く思い出せないが、時間が経って混乱から立ち直ったのはピリリと鳴る甲高い音だった。
薄手のコートのポケットで揺れる携帯電話に意識を取り戻し、それからディスプレイに写った文字にぎょっとしたのは間違いない。
恐る恐る通話ボタンを押して、それからカイトがうっかり一緒に移動していることに驚いて、それから慌てて調べて複雑ながらも安堵した。
そう。
安堵したのは、“この世界”が俺の存在を否定してくれたからだ。
「まあ、冷静になってみればその可能性が一番高いっつーだけなんだよな」
「何だ? 唐突に」
小さなテーブルを挟み、訝しげにこちらを見たカイトに「何でもない」と言いつつ、右手に挟んだ煙草を一口吸い込みながらつらつらと現状を思う。
原因については正直不明なので、棚上げしている。
念能力の結果というのが妥当なラインだろうが、俺だけじゃなくカイトまでもというのが事態をややこしくしていた。
とはいえ、色々と面倒のないカイトと一緒だったのは僥倖だった。
ジンやクロロ、ゾルディックや面識のない連中などと一緒だったら厄介なことこの上なかっただろう。特に、好奇心旺盛な上頭の回転の速いクロロだった場合、俺は一人で適当に逃亡していたかもしれない。
(アイツ、マジ面倒臭くなるからな…。知恵を借りる分には申し分ないんだが、好奇心が優先されるから色々と厄介ごと引き起こすし、自重とか謙虚とかアイツ知ってるのか?)
顔をしかめて考えごとをしていたせいだろう。コツン、とテーブルに紙コップを置いたカイトが視線で理由を尋ねてきたので、何ともバツが悪くなった。
「悪い。ちょっと、嫌なこと考えてた」
「…それは敢えて聞かないことにしておく。それより、何か目処はたったのか?」
トン、と軽く指先を叩いて煙草の灰をテーブルの灰皿へ落とす。
ひとつ間を置いたのは、正直なところ俺もまだ決めかねているからだ。
「そうだな…。まあ、ここが“何処か”っつー答えは出せないが、十中八九“二次世界”だと思う」
「二次世界?」
「有体に言えば、本や映画、ゲームなんかで描かれていた世界だな」
まず最初に疑ったこの世界が『現実』なんじゃないか?という疑惑だが、これは戸籍や住所や住民謄本を調べて“俺が存在しなかった”ので、早い段階で否定された。
だから次に俺は、これがハンターハンターと同じく、誰かが描いた世界なんじゃないか?と考え、思いつく限りの作品に関連しそうなものを探した。
…普通ならそんなこと疑いもしないだろうが、如何せん俺は実体験済みなので笑い飛ばせない身の上だ。
が、残念ながらこれについては確証を得ることはできなかった。
流石に分かりやすい登場人物に遭遇でもすれば分かるんだが、俺の知らない作品という可能性も捨てきれない。
何しろ俺の知る現実世界によく似ているものの、スポーツ漫画やラブコメ、少女漫画など当てはまりそうな可能性は無数なのだ。
ネットや書店でざっと『存在しているはずなのに存在していない作品』を洗い出してはみたものの、俺の記憶だけで判断するのはムリそうだと諦めた。
そう俺が言えば、カイトは眉間に皺を寄せて息をつく。
荒唐無稽な話ではあるが、世間一般で与太話扱いされるネタに近い生活なんかをしていたせいで、簡単に笑い飛ばせるようなものでもないと知っているので、カイトの溜息はどこか諦めの滲んだものだった。
「最初にお前が言っていた『知らないけど知ってるかもしれない』っていうのは、このことか?」
「概ねその通りだな。まあ、地図や新聞見りゃその辺すぐ分かったからお前も信じたんだろう?」
そう俺が指摘すれば、カイトもまたこれには頷く。
「最初はまたお前に飛ばされたのかと一瞬思ったが、ハンター文字が見あたらなかったからな。…それに、詳細な言語が聞き取れない」
そう零したカイトの表情には、いくらか憔悴の色が見て取れた。
あちこちと移動しることが多かったせいか、ハンター語以外にも挨拶程度なら理解できるくらいの知識はカイトも持っている。
英語や日本語、中国語やマイナーな少数部族の挨拶も学習していたのは知ってるし、俺も協力してその辺の知識は溜め込んでたので、カイトが戸惑うのもムリはない。
しかし、ハンター語がない純言語のみとなるとかなり聞き取りが難しいらしく、けっこうストレスになっているようだった。
「そればっかりは慣れるしかないな。とりあえず、携帯の通訳機能が使えるみたいだからマシじゃないか?」
「充電が心もとないが…」
「正直、ここじゃソレ以外用途ないからな。ソーラーで補えるんだがら、我慢しとけって」
俺とカイトの携帯電話は、当然通話やメール、ネット機能が使えないので無用の長物と化していた。
しかし、意外というか驚きというか、通訳機能が使えたのでカイトはもっぱらそれを使って意思疎通を図っている。
「というか、何でお前はそんなに流暢に喋れるんだ?」
「…俺、ジャポン出身だったんじゃねえの?」
今更ながらの指摘だが、そういうことにしておこう。
というか、俺も実際何で喋れるっつーか聞き取れるか分からないので説明とかできない。
(ジャポン語と日本語は違うのか? つーか、俺からしたら日本語もハンター語も喋るぶんには一緒なんだが。…ああ、でも意識しないとできないっつーのはどういうこと何だ?)
耳から入る分には、カイトの喋るハンター語も周囲の客や店員が話す日本語も俺からすれば同じなんだが、喋るときは意識しないとハンター語になってるらしい。
らしい。というのは、周りに指摘されて気づいただけなので、何が違うかイマイチよく分からん。
「………ケイト。お前、しばらく付き合え」
「は? 語学に? そりゃ多少はいいけど、発音はちゃんとこっちの人間にみてもらった方がいいぞ?」
言葉の意味を教える分にはいいが、発音練習とか俺のは参考にならんぞ。
つーか、正直そんなに必要性を感じないんだが。
「学ぶなら、日本語より英語のがいいんじゃないか? お前の場合、見た目からして英語喋れない方がこっちじゃ面倒になりそうだし」
カイトの見た目を考えると、日本語より英語の方が流暢に喋れておかしくない。下手な日本語より誤解を招かないですむだろうし、そっちのが俺としてはいいと思うんだが。
「けど、それじゃここから移動することになるだろう? お前と違って俺はそう簡単に動くとマズイだろう。ライセンスが効かないんだから」
「あー…、そうなんだよな」
力ない声が出てしまうのは、ハンターライセンスの偉大さを身に沁みて感じたからに他ならない。
何しろ、唐突な事故でこの世界に放り出されたのだ。
金は勿論、パスポートなんてものがないので身分証明ができないので、俺もカイトも不法滞在者である。
ハンター世界じゃパスポートなんて面倒なものより、ハンターライセンスであれこれ融通が利いたので、宿泊費や交通費なんかはタダだったわけだし、国境は大した検査もなく通れた。
警官や軍の人間にもかなり有効な代物だったので、はっきりいってコレが効かないだけでかなり動きづらくなっていた。
「お前は何かあっても最悪逃げ切れるだろうが、流石に俺はそういうわけにはいかないだろうからな」
「…まあ、その辺は近いうちに何とかしてみる。とりあえず、パスポートと外国人登録証手に入れるまでは大人しく勉強でもしとけ。不用意に出歩くなよ?」
「そんなこと分かってる」
やや不貞腐れたような返事なのは、身動きがとれない現状が窮屈でしょうがないんだろう。
カイトにとっちゃトンだ災難だろうが、俺としてはカイトが一箇所に留まっていてくれ方が都合がいいので助かった。
「そう拗ねるな。目処たったら、ガラパゴス諸島にでも行けるよう算段してみるから」
「ガラパゴス諸島?」
「ああ。固有種生物がいくつも生息してる島で、こっちじゃ世界遺産に登録されてる。お前にはもってこいの場所だよ」
でもまあ、ハンター世界のトンでも生き物と比べちゃ見劣りするだろうなぁ。とは言わないでおいた。
*******************************************
▼以下補足。
・二人の会話はハンター語で行われている。
・主人公は原因不明だが、日本語と英語、あるいはそれ以外の言語も意識すれば聞き取れる。
・ただし、喋る分には本人の技能が必要なのでハンターと日本語が主。
・カイトは頑張って半分くらいなら聞き取れるように。
・ただし喋るのは難しい。ので携帯の通訳機能を頼ることに。
・だから主人公がいない時は、セルティみたいに意思疎通に媒体が必要になる。(もっともジェスチャーと目線である程度は伝わるので、あまり使わない)
しかし書いてて思ったが、蟻編終了後だとすると主人公の語りというか考え方がちょっとアレになってるはずなので、いまいち視点口調がしっくりこない。
どうしても第三章辺りになってしまったのは、やっぱり終了まで書かないとダメなんだろうな…。
以下、本文。
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最初は「あれ、俺ジャポンに跳んだっけ?」と思った。
『百万世界の扉』も問題の多い念能力だったし、キメラ=アントの一件で色々と思うところもあったので改良を考えていた時だったのは確かで。
繋げる場所間違えたかな?と思って、とりあえず場所を再確認しようとしたところで、妙に懐かしい感覚がした。
なんだ? と首をかしげ、周囲を見渡し、それでも分からず少し警戒しながら円を広げてハッとした。
ハンター文字がない。言語が妙に耳に入る。鼻を掠める雑踏の匂い。肌に触れる空気が生ぬるい。
全身が粟立つ緊張に、冷水に使ったような悪寒。
ゴォッと空を横切る騒音に弾かれたように空を見上げ、視界に入った飛行機の存在に咽喉の奥が引き締まった。
それからまさかと疑う気持ちに駆け出し、近くにあった地下鉄の駅前に移動して呆然と駅名の掲げられた看板を見上げた。
百貨店のビル。コーヒーショップ。緑色の標識文字。無数の人が交差する駅前広場。
どこか懐かしさのあるその喧騒に心臓が不規則な運動をしていて、ヒュっと息を飲んで強い嫌悪感に吐き気を催した。
その後のことは上手く思い出せないが、時間が経って混乱から立ち直ったのはピリリと鳴る甲高い音だった。
薄手のコートのポケットで揺れる携帯電話に意識を取り戻し、それからディスプレイに写った文字にぎょっとしたのは間違いない。
恐る恐る通話ボタンを押して、それからカイトがうっかり一緒に移動していることに驚いて、それから慌てて調べて複雑ながらも安堵した。
そう。
安堵したのは、“この世界”が俺の存在を否定してくれたからだ。
「まあ、冷静になってみればその可能性が一番高いっつーだけなんだよな」
「何だ? 唐突に」
小さなテーブルを挟み、訝しげにこちらを見たカイトに「何でもない」と言いつつ、右手に挟んだ煙草を一口吸い込みながらつらつらと現状を思う。
原因については正直不明なので、棚上げしている。
念能力の結果というのが妥当なラインだろうが、俺だけじゃなくカイトまでもというのが事態をややこしくしていた。
とはいえ、色々と面倒のないカイトと一緒だったのは僥倖だった。
ジンやクロロ、ゾルディックや面識のない連中などと一緒だったら厄介なことこの上なかっただろう。特に、好奇心旺盛な上頭の回転の速いクロロだった場合、俺は一人で適当に逃亡していたかもしれない。
(アイツ、マジ面倒臭くなるからな…。知恵を借りる分には申し分ないんだが、好奇心が優先されるから色々と厄介ごと引き起こすし、自重とか謙虚とかアイツ知ってるのか?)
顔をしかめて考えごとをしていたせいだろう。コツン、とテーブルに紙コップを置いたカイトが視線で理由を尋ねてきたので、何ともバツが悪くなった。
「悪い。ちょっと、嫌なこと考えてた」
「…それは敢えて聞かないことにしておく。それより、何か目処はたったのか?」
トン、と軽く指先を叩いて煙草の灰をテーブルの灰皿へ落とす。
ひとつ間を置いたのは、正直なところ俺もまだ決めかねているからだ。
「そうだな…。まあ、ここが“何処か”っつー答えは出せないが、十中八九“二次世界”だと思う」
「二次世界?」
「有体に言えば、本や映画、ゲームなんかで描かれていた世界だな」
まず最初に疑ったこの世界が『現実』なんじゃないか?という疑惑だが、これは戸籍や住所や住民謄本を調べて“俺が存在しなかった”ので、早い段階で否定された。
だから次に俺は、これがハンターハンターと同じく、誰かが描いた世界なんじゃないか?と考え、思いつく限りの作品に関連しそうなものを探した。
…普通ならそんなこと疑いもしないだろうが、如何せん俺は実体験済みなので笑い飛ばせない身の上だ。
が、残念ながらこれについては確証を得ることはできなかった。
流石に分かりやすい登場人物に遭遇でもすれば分かるんだが、俺の知らない作品という可能性も捨てきれない。
何しろ俺の知る現実世界によく似ているものの、スポーツ漫画やラブコメ、少女漫画など当てはまりそうな可能性は無数なのだ。
ネットや書店でざっと『存在しているはずなのに存在していない作品』を洗い出してはみたものの、俺の記憶だけで判断するのはムリそうだと諦めた。
そう俺が言えば、カイトは眉間に皺を寄せて息をつく。
荒唐無稽な話ではあるが、世間一般で与太話扱いされるネタに近い生活なんかをしていたせいで、簡単に笑い飛ばせるようなものでもないと知っているので、カイトの溜息はどこか諦めの滲んだものだった。
「最初にお前が言っていた『知らないけど知ってるかもしれない』っていうのは、このことか?」
「概ねその通りだな。まあ、地図や新聞見りゃその辺すぐ分かったからお前も信じたんだろう?」
そう俺が指摘すれば、カイトもまたこれには頷く。
「最初はまたお前に飛ばされたのかと一瞬思ったが、ハンター文字が見あたらなかったからな。…それに、詳細な言語が聞き取れない」
そう零したカイトの表情には、いくらか憔悴の色が見て取れた。
あちこちと移動しることが多かったせいか、ハンター語以外にも挨拶程度なら理解できるくらいの知識はカイトも持っている。
英語や日本語、中国語やマイナーな少数部族の挨拶も学習していたのは知ってるし、俺も協力してその辺の知識は溜め込んでたので、カイトが戸惑うのもムリはない。
しかし、ハンター語がない純言語のみとなるとかなり聞き取りが難しいらしく、けっこうストレスになっているようだった。
「そればっかりは慣れるしかないな。とりあえず、携帯の通訳機能が使えるみたいだからマシじゃないか?」
「充電が心もとないが…」
「正直、ここじゃソレ以外用途ないからな。ソーラーで補えるんだがら、我慢しとけって」
俺とカイトの携帯電話は、当然通話やメール、ネット機能が使えないので無用の長物と化していた。
しかし、意外というか驚きというか、通訳機能が使えたのでカイトはもっぱらそれを使って意思疎通を図っている。
「というか、何でお前はそんなに流暢に喋れるんだ?」
「…俺、ジャポン出身だったんじゃねえの?」
今更ながらの指摘だが、そういうことにしておこう。
というか、俺も実際何で喋れるっつーか聞き取れるか分からないので説明とかできない。
(ジャポン語と日本語は違うのか? つーか、俺からしたら日本語もハンター語も喋るぶんには一緒なんだが。…ああ、でも意識しないとできないっつーのはどういうこと何だ?)
耳から入る分には、カイトの喋るハンター語も周囲の客や店員が話す日本語も俺からすれば同じなんだが、喋るときは意識しないとハンター語になってるらしい。
らしい。というのは、周りに指摘されて気づいただけなので、何が違うかイマイチよく分からん。
「………ケイト。お前、しばらく付き合え」
「は? 語学に? そりゃ多少はいいけど、発音はちゃんとこっちの人間にみてもらった方がいいぞ?」
言葉の意味を教える分にはいいが、発音練習とか俺のは参考にならんぞ。
つーか、正直そんなに必要性を感じないんだが。
「学ぶなら、日本語より英語のがいいんじゃないか? お前の場合、見た目からして英語喋れない方がこっちじゃ面倒になりそうだし」
カイトの見た目を考えると、日本語より英語の方が流暢に喋れておかしくない。下手な日本語より誤解を招かないですむだろうし、そっちのが俺としてはいいと思うんだが。
「けど、それじゃここから移動することになるだろう? お前と違って俺はそう簡単に動くとマズイだろう。ライセンスが効かないんだから」
「あー…、そうなんだよな」
力ない声が出てしまうのは、ハンターライセンスの偉大さを身に沁みて感じたからに他ならない。
何しろ、唐突な事故でこの世界に放り出されたのだ。
金は勿論、パスポートなんてものがないので身分証明ができないので、俺もカイトも不法滞在者である。
ハンター世界じゃパスポートなんて面倒なものより、ハンターライセンスであれこれ融通が利いたので、宿泊費や交通費なんかはタダだったわけだし、国境は大した検査もなく通れた。
警官や軍の人間にもかなり有効な代物だったので、はっきりいってコレが効かないだけでかなり動きづらくなっていた。
「お前は何かあっても最悪逃げ切れるだろうが、流石に俺はそういうわけにはいかないだろうからな」
「…まあ、その辺は近いうちに何とかしてみる。とりあえず、パスポートと外国人登録証手に入れるまでは大人しく勉強でもしとけ。不用意に出歩くなよ?」
「そんなこと分かってる」
やや不貞腐れたような返事なのは、身動きがとれない現状が窮屈でしょうがないんだろう。
カイトにとっちゃトンだ災難だろうが、俺としてはカイトが一箇所に留まっていてくれ方が都合がいいので助かった。
「そう拗ねるな。目処たったら、ガラパゴス諸島にでも行けるよう算段してみるから」
「ガラパゴス諸島?」
「ああ。固有種生物がいくつも生息してる島で、こっちじゃ世界遺産に登録されてる。お前にはもってこいの場所だよ」
でもまあ、ハンター世界のトンでも生き物と比べちゃ見劣りするだろうなぁ。とは言わないでおいた。
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▼以下補足。
・二人の会話はハンター語で行われている。
・主人公は原因不明だが、日本語と英語、あるいはそれ以外の言語も意識すれば聞き取れる。
・ただし、喋る分には本人の技能が必要なのでハンターと日本語が主。
・カイトは頑張って半分くらいなら聞き取れるように。
・ただし喋るのは難しい。ので携帯の通訳機能を頼ることに。
・だから主人公がいない時は、セルティみたいに意思疎通に媒体が必要になる。(もっともジェスチャーと目線である程度は伝わるので、あまり使わない)
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