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ようやく念願の臨也凹タイムですwww

主人公の性格が悪いのは、仕方がないとあきらめてやって下さい。


以下本文。


*******************************************


 ケイトに「ちょっと知床にでも行ってみないか?」と誘われたのは一週間ほど前。

 池袋という街を拠点に過ごしていたが、都市部で長い期間生活することに疲れを感じていたからちょうどよかった。
 それでもまあ、そんなことをわざわざケイトが勧めてきたことに何も感じなかったわけじゃない。
 けど深く追求したところで自分にそれが理解できるとも思えなかったし、単純にこの東京という街に居心地の悪さを感じてもいたので、自然豊かな知床を訪れることができたのは渡りに船でもあったのだ。
 流氷と地形のおかげで独特の雰囲気を持つ地域は興味深い場所だったから、すぐに深く考えるのを放棄して満喫していたのだから、言及する気持ちになれなかったのが正直なところでもあるが。
 一週間という短い期間だったのが惜しいくらいだったので、ケイトが「一回池袋に戻ったら、長期滞在できるよう算段してみるか?」と笑われた。含むものがあるのはわかるが、それに素直に頷いてしまうくらい辟易していた。

『いーーざーーーやーーーー!!!!』
『止めてよね~、シズちゃん。こっちは仕事で来てるってのに、立派な営業妨害だよ。賠償金でも請求しようか?』

「なに? そんなに気にいったのか?知床」
「…正直、これだけ人が多い場所に長いこと留まるような生活してなかったからな。あっちの方が落ち着く」

 眼前を通り過ぎた巨大な看板と共に現れた静雄と、その静雄に追い掛け回された若い男が路道を走り抜けていく。
 どこかで引っこ抜いた道路標識をかついだ静雄を見て、悲鳴混じりの騒ぎが目前で大きくなっていくのが分かるが、ケイトは対して気にせず煙草を取り出して火を付けていた。
 横に立っていた学生と思われる少年二人は何やら慌てているが、ひょっとして静雄と知り合いなんだろうか?

「お前、なんか引き篭もりが拍車がかってないか?」
「いや、雑踏独特の空気がちょっとな…。それに、どういうわけか最近出歩くと視線を感じてたから不愉快だったんだ」

 そう零せば、ふむ。と何か考えるようにケイトが煙草を口元に寄せる。
 この様子じゃ何かあるな。とは思うものの、眼前で繰り広げられる喧嘩が少々派手になってきたので顔を向ければ、ちょうど静雄が振り上げた道路標識が路面に突き刺さったところだった。

『池袋には来るなって何度も言ってんだろぉ! ノミ虫が!!」
『何度も言ってるけど、君のそれは完全なる言いがかりだから。大体、なんで君が人の仕事に指図できるのか、理解できないなぁ』

 何事か言葉を交わしたところで、黒服の男が薄いナイフを静雄に投擲する。
 背後に人がいるから思わず眉を顰めると、静雄は投げられたナイフを噛み砕いていたので少し安堵した。
 頭に血が上っているようだが、背後の存在に気を払えるくらいには周囲が見えている。…と、思っていいのか?
 流石にそこまで詳細に会話を聞き取れてはいないから不安があったが、蜘蛛の子を散らすように群衆が散っていくのを眺めていると、ふつりと紫煙を吐き出したケイトが笑っているのに気付いた。

「何だ?」
「―――いや、少し苛め過ぎたかなと思って」
「?」

 ケイトの台詞の意味が分からず顔を見れば、ケイトは彼らの様子をうかがっていたサイモンに声をかけた。

『すまないけど、先に店の準備をお願いしてもいいかな?』
『?? ドウイウ意味ネ? お兄サン』
『あいつら回収してくるから。先に準備をしてもらえればと思って』

 そう話す視線の先には静雄と黒い服の男。
 渦中の二人を示すケイトに、ぎょっとした様子で少年とサイモンが目を見開くのが分かるが、純粋に俺はあの二人を知っているケイトに驚いた。
 ケイトがあれこれと調べているのは知っていたが、静雄を知っているとはどういうことだろうか?

『ンー。モシカシテお兄サン、アノ二人止メテクレル? 池袋平穏、喧嘩ナシよ?』
『はは、そう心配しなくても。ありゃ単に、加減を間違えたじゃれ合いしてるだけだって』
『いやいや。あれは抗争っつっても間違いじゃないんじゃ…』

 小さい声ながら、思わずといった様子で口をはさんだのは金髪の少年だった。
 顔を向けたケイトに口を噤んでいたが、宥めるようにその少年の頭に手をのせてケイトは歩を進めた。

『まさか。ありゃ感情と力の発揮口を間違えたしょうもない大人だよ。大体、あれで抗争とか言ってたら本職に鼻で笑われるさ』

 ぽんぽん、と頭を軽く叩かれたのに金髪の少年が硬直している気配が伝わってきたが、正直ケイトと彼の会話をきちんと聞き取れたわけじゃなかったので、半分も理解できなかった。
 一歩踏み出したケイトに続いたのも、どういう意味かを尋ねようと思っただけだったが、それをケイトに尋ねようとしたところで一際大きな音が聞こえたので、自然とそちらに顔を向けていた。

 派手な音を立てて落下したのは自動販売機で、肩で息を弾ませた静雄が投擲した体勢で男を睨みつける。
 一方の男は高笑いを浮かべながら何事かしゃべっているが、あいにくと早口過ぎてちゃんと発言が聞き取れなかった。
 とはいえ、額に青筋を静雄が浮かべたのが見て取れたので大方挑発の類なんだろうと思う。
 大破した自動販売機からジュースの缶が転がり出る。赤いパッケージのソレが黒い服を着た男のつま先にたどり着くと、男は何事か声を上げて勢いよくその缶ジュースを踏みつけた。
 半分ほど聞き流していたので全く意味が分からず内心で首を傾げていると、少し前にいたケイトの肩が震えているのが分かった。
 その震えの意味が全く分からずケイトの肩に手をかけようとしたところで、今度はちゃんと意識して男のセリフがいたおかげか男の言葉が耳に入ってきた。

『あぁ、まあ色々言っても君みたいな単細胞じゃ理解できないよ。それに、僕は人間が大好きだけど、シズちゃんは大っ嫌いだから。安心して、死んで?』

 何だそれは? と内心疑問符だらけでその男へ視線を向けたところ、勢いよく眼前のケイトが噴出した。
 ぶはっ、と息を吐き出したかと思えば、その場で身をよじるようにして笑い出したので何事かと思った。一瞬気でも触れたのかと疑いたくなったのは、笑い転げんばかりの様相で笑っているからだ。

「オイ…、ケイト―――」
「ちょっ、無理…っ。ありえな…っ、なに、コイツ…ッ!」

 悶絶するかのように笑い続けるケイトに近寄れば、俺の肩をバシバシ叩きながら呼吸困難になっていた。
 一体何だってこんなに笑っているんだ? というか、何がケイトの笑いのツボを突いたのかさっぱり分からず困惑を隠せなかった。
 この様子じゃ回復には時間がかかりそうだな。と思って視線を元に戻せば、爆笑したケイトが目立ったんだろう。先ほどの喧騒の原因だった二人がこちらを見ていた。更に言うなら、先ほどの少年たちや群衆も、だ。

「―――ケイト。いい加減笑うの止めろ。目立ってるぞ」
「む、無理…。つーか、マジありえねぇっ! な、なんつー恥ずかしい奴…っ」

 笑い過ぎて咳き込むケイトの反応に微妙な空気が流れているのが分かるが、一瞬目線のあった静雄は唖然としていたのでさっきまでの爆発しそうな怒気が霧散していた。
 ケイトは暫く放置しておいた方がいいかもしれない。と思い、静雄に声をかければ、ビクリとしたのは背後にいた少年たちだった。
 何だ?と不思議に思ったが、呼ばれて近づいてきた静雄はどこか恐縮するような雰囲気でぺこりと頭を下げた。

『あの…、カイトさん。そっちの人、知り合いっすか?』
『ああ。……親友、だ』

 爆笑している状態で紹介というのはどうなんだ?と思ったが、それ以外に説明のしようがないのでそう告げれば、静雄は目を丸くしてケイトを見ていた。
 その心境はよくわかる。というか、俺もここまで爆笑するケイトを見たのは初めてかもしれない。
 あんまりなのでケイトの脳天に一撃を下せば、頭を押さえたケイトが抗議しつつも何とか顔を上げた。お前、そろそろいい加減にしろ。

『は…っ、悪ィ。まさか、アイツがあんな赤面ものの人間だなんて思わなくて…っ。――俺はケイトだ。お噂はかねがね』
『は、はぁ…』

 右手を差し出したケイトにぎこちなく静雄が応えていると、ヒュンと薄いナイフが飛んできた。
 ちょうど握手を交わしていた二人の間に投げられたそれに、ハッとした静雄が振り払うような仕草をしたが、その前にケイトが叩き落としていた。
 かなり早い動きだったので何があったのかわからなかったのだろう。静雄とナイフを投げた男が怪訝そうな顔ををしたが、すぐに静雄が吼えるような大声を上げた。
 不意打ちにナイフを投げるような輩だし、先ほどまで静雄と一緒に大立ち回りを演じていたのでこの二人は知り合いであるが、犬猿の仲らしい。
 何事か大声でやりあっているが、大半が罵り合いであるっぽいので聞き流していると、ケイトが静雄を宥めてもう一人の男に声をかけた。

『ほら、お前もさっさと引き揚げろ。この騒ぎじゃ警察が駆けつけてくるぞ?』
『へえ? 親切にどーも。けど、その前に僕に詫びの一つがあってもいいんじゃないかな?』

 赤みの強い目線の男が眼光鋭くケイトを射抜く。
 口元には薄い笑みを浮かべていたが、睨むような目線から相当苛立っているのが分かった。…無理もないと思う。
 しかし、ケイトは男の挑発をまるで意に返さず、ひらりと手を振って背を向けた。

『いや、全然。意味が分からない』

 ばっさりと切って捨てるように返してさっさと歩きだしたケイトに、ポカンと相手の男が口を開けていた。
 心なしか静雄も同様の反応をしていたし、やや離れた場所で様子をうかがっていた少年たちも、『え』とか『は?』とか漏らしていた。
 そんな彼らの反応に同情しそうになったが、すたすた歩き出したケイトがチラリと振り返って「カイト、その露西亜寿司って店どこだ?」と言うので、ため息交じりに歩みを進めた。

「――お前、性格悪いぞ。ケイト」
「んなの今更」
「偉そうに言うな。それに、わざとこんなことして。どういうつもりだ?」

 ケイトの態度からして、あの男が気に入らないのは間違いないようだが、そうなると元々その存在を知っていたことになる。
 面識があるのかどうかは不明だが、わざと挑発しているとしか思えない態度が何を狙ってなのかが理解できなかった。
 そう思って尋ねて見れば、ケイトはどこかニヤリとあくどい笑みを浮かべる。そのことに辟易していると、ケイトは硬直していた後ろに振り返って声をかけた。

『そっちのお前らも、よければ奢ってやるから一緒にどうだ? 静雄も折原も、寿司は嫌いじゃないんだろう?』

 ……お前、ホントに性格悪くなったな。ケイト。
 一瞬あの蜘蛛の男が脳裏をよぎったが、それを言ったら激怒しそうなのでやめておいたのは懸命なんだろうな。


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・カイト視点なので、「 」がハンター語。『 』が日本語での会話だと思って下さい。
・主人公は性格の悪さに拍車がかってるので、えこ贔屓加減がぱない。
・容赦なく落として上げるのが主人公テクニック=人心掌握&軽い洗脳<!
・主人公は演技(猫かぶり)と素の落差がクロロ並み(に見える)。
・蟻編以降だと主人公とクロロは似た者同士と一部に言われるように。
・ただし、上記の発言をすると二人が心底嫌そうな顔をするwww
・=同族嫌悪。あるいは似て非なる者。
・臨也カワイソス。でもザマアwwwって思ったら本望。
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