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藍沢
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カイトとクロロが好きです。
好きすぎてHP立ち上げるくらいには…!
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生存報告、作品補足、拍手レスなど。
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引き続き臨也凹タイム。笑。
でも、構ってるウチは嫌ってはないんだと言ってみるw


拍手レスは次回に。



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「おー、越乃寒梅! 辛口なのにさらっとしてて飲みやすいよな。これから試してみるか?」
「任せる」
「分かった。なら温(ぬる)で2本貰えるか?」
「ハーイ。日本酒のヌル2本。毎度アリー」

 カウンターから見えた酒瓶のラインナップを眺めて注文すれば、サイモンが陽気な声を上げて用意を始めた。
 檜のカウンターに肘をついて店内をぐるりと見渡すが、ロシアを看板に掲げているだけあって微妙な内装だったりする。
 カウンター前に据えられたケースの中を見るかぎりじゃ普通のネタだが、純和風とはとても言えないインテリアがあちこちあるのには正直苦笑いが浮かんだ。

「そうだ。刺身と揚げ物で適当にお薦めなのを見繕ってもらえるかな?」
「酒の肴(アテ)でいいのか?」
「ああ。種類は何でも構わないが…。そうだな、ヒカリ物とイカ刺しがあると嬉しい」
「分かった」

 壮年の白人らしい店主は、そう言ってまな板にネタを取り出して切り始めた。
 見た目で判断するのは失礼だと思ってたが、かなり様になってる姿に感心した。味に期待しても良さそうだな、と思ってゆるく笑っていると、カイトの隣からおずおずとした声がかかった。

「あの…、ケイト、さん。なんで―――」
「静雄。奢ってやるから、好きなもの頼んでいいぞ」
「え、あ、はい」

 俺が答える前にカイトが返答したので、思わずと言った様子で静雄が頷く。
 その殊勝な態度に俺の隣に座っていた折原がまじまじと静雄へ視線を向けているのが分かるが、何事か言いそうになっていたので牽制の意味で声をかけた。

「折原も好きなの頼んでいいぞ」
「はあ? さっきから、なんなのアンタ? 妙に馴れ馴れしいから不愉快なんだけど」
「そう言いつつもホイホイ着いてきたお前のしゃべりはウザイな。というか、まだ気付いてないのか?」

 ズバリと言ってやればひくりと折原の頬が引き攣るのが分かる。が、まだ気付いてないのかと少し驚いた。
 俺の発言に怪訝そうに眉を顰めたところで、ピンと来てもいないのはどうなんだ? ――もっとも、言ったところで簡単に分かられても困るから、ある意味はこれは仕方がないのかもしれない。

「俺やカイトの身辺をこそこそ探らせてただろう? 対象者を前に気付かないのは、どうかと思うぞ」
「――――ッ」
「ハイ。お待チドウ様! 酒と刺身の盛り合ワセネ~」
「ああ。ありがとう」

 目を見開いて腰を浮かしかけた折原を押しとどめるように、サイモンが注文した品物を出してくれたので少し感心した。
 タイミングを計っていたのだろうか? と一瞬思ったものの、不機嫌そうに折原がこちらを睨んでいるので自然と苦笑いが浮かんだ。

「そう警戒するな。飯を奢ってやろうっていうんだから、少しは力抜いたらどうだ?」
「…そう言われて、はいそうですか。と鵜呑みにするには、アンタの情報が足りなくてね」

 そりゃそうだろう。コイツが俺とカイトの存在に興味を示し、情報を集めようとしたから俺はカイトを誘って知床まで観光に行ってきたのだ。
 元々俺たち二人の情報なんて、この世界に大したものなどないからそんなことする必要もなかったが、半分以上はリフレッシュとある検証を兼ねていたので、折原の件はついでだったに過ぎないのも確かだ。
 まあ、このタイミングで池袋を離れたのはささやかな嫌がらせだったりする。

 警戒している折原を無視してカイトに酒とつまみを解説してやると、チラチラと様子を窺うように静雄がこちらを見ているのが分かる。
 うまくカイトが気を逸らしているから折原につっかかるようなことはないようだが、俺と折原の会話に驚いてもいる様なので、なんだかなぁと思わないでもない。
 とりあえず、いただいたイカ刺しを頬張りつつ酒を飲めば、なんかどうでも良くなってきた。
 それが、どこかへ匙を投げたい俺の心境でもあったりするのは間違いない。


 ぶっちゃけ知床に行ったのは、俺とカイトが揃って都内を離れることで何かあるのか試したかったからだった。
 それ以外に狙いはいくつかあったものの、折原や静雄、あるいはセルティなんかを観察した上で、俺は一つの結論を出していた。

 折原には悪いが、俺やカイトの情報を探った狙いと、俺が依頼した折原の情報収集能力を勘案して、俺はコイツが脅威になることはないと感じていた。
 静雄も同様で、確かに驚異的な身体能力を持ってはいると思うが、やはり俺やカイトには対処できる範囲なので注意を払うほどでもない。
 運び屋で首なしライダーと池袋で呼ばれているセルティも、精霊という特異な存在ではあるものの、性格的に実に人間味あふれているせいでどうも恐怖を抱きにくかった。
 もちろん彼ら以外にも無数の存在がたむろしている東京、池袋周辺にも注意は払ったが、ハンター世界の連中と比べるとどうしても見劣りしてしまうのは否めない。
 そりゃあんなトンでも連中と似たり寄ったりの存在がそうそういても困るので、これについては大いに安堵できる見通しだと喜べた。
 なにより俺もカイトも縁もゆかりもない世界なので、こちらから関わり合いにならない限り厄介ごとに巻き込まれる心配もないだろうから、変に警戒しなくていいだけ楽でいい。

(ま、それも“戻るため”を考えたらどうなのか分からないから、困るんだけどな)

 こくりと一口含んだ日本酒が喉を焼くように伝っていくのを感じて、少しばかり気が紛れる。
 八方ふさがりというほどでもないが、状況改善に明確な見通しが立っていないのは辟易する。酒でも飲まなきゃやってられない。
 知床へ行ったのは一度心身共にリフレッシュしたかったからでもあり、鈍った身体を動かしたかったからなのだが、折原からしたら変に勘ぐりたくもなるだろう。
 途中から思考を脱線させて食事をしていたので、何やらあれこれ話しかけてきた折原が眉を顰めていた。

「ちょっと、聞いてるの?」
「あんまり」

 素直にそう返せば、折原の機嫌はますます降下していく。
 俺の返答が素っ気なさすぎたせいか、タイミングよくお茶を飲んでいた静雄がむせていた。これをカイトが背中をさすってやり、俺へ抗議するような視線を向けてくる。
 いやいや、ソレは俺のせいじゃないだろ。というか、まともにコイツの相手すると主導権握ろうと調子づいてくるから、これぐらいがちょうどいいさじ加減なんだぞ?

『ケイト、お前の憂さ晴らしにソイツを巻き込んでやるな。お前相手じゃ、いくらなんでも可哀そうだ』
『心外だな。つーか、ソレ絶対静雄に聞かせてやるなよ?』

 聞いた限りじゃ静雄に折原の話題は禁句っぽいから、いくらお前でもネタにするなよ。大体、コイツが可哀そうってタマか。知らないとはいえ、お前の発言見当違いもいい所だぞ?
 ハンター語でカイトと話してたせいで二人に会話は聞き取れなかったと思うが、静雄の名前を出したことで呼ばれたかと思ったんだろう。
 お茶で濡れてしまったサングラスを外した静雄がきょとんとこちらを見ていたので、自然と笑っていた。

「静雄。心配しなくても、この『人ラブ!』とか言っちゃう恥ずかしい電波は、俺が適当にあしらってやるから、カイトの相手してやってくれ」
「や、心配なんて米粒どころか塵カスほどもしてないんで。むしろ、そんなノミ虫なんて相手する必要ないっす」
「…ケイト」

 余計なことを言うなとカイトが睨んでくるので肩をすくめると、隣の折原が何ともまあ殺気立った苛立ちを隠そうともしてなかった。流石にちょっと大人気なかったかと反省した。
 反省はしたが後悔はしてないので、スッと隠すように折原が突き出してきたナイフは右手で掴んで折りたたんだ。

「手癖の悪い奴だ。出禁になりたいのか?」
「………アンタ、いったい何者?」
「さあ? それを調べるのは、お前の仕事じゃないか?」

 いや、むしろお前の場合は趣味か。と思いつつ、折原から没収したナイフをカウンターの上に置いてやると、赤みの強い目が睨んでくる。

 まったく。そんな狭量で、よく人間愛してるだなんて言えるな。
 お前のその薄っぺらい愛情で人間を語られたら、キメラ=アントたちも胸糞悪くなりそうだと思うぞ。


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・臨也でも流石に蟻編以降の主人公では分が悪いと思う。
・主人公的には、臨也=面倒臭い年下の情報屋。という認識なので、ある程度調べたら対処可能だと思って放置するかと。
・静雄も同様。カイトは静雄が恐れられてるのがイマイチ分かってない。<だって以下略。
・セルティの首については、特に本人から相談されない限りスルー。
・臨也の恥ずかしい人間ラブ発言も、中二病発言だと思って笑い飛ばして終了<笑。
・基本的に蟻編以降の主人公の経験値を考えると、相当のことがない限り自分からかかわらないスタンス。
※相当なこと=国際紛争、テロ行為、バイオハザード級事件、天災、身内の身の危険
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